Q.遺言作成を検討した方がよいケースはありますか。
A.
死後の紛争防止や財産引継ぎ手続きの円滑化、相続人以外の人への引継ぎを考えている場合には、遺言作成を検討する余地があります。
次のような事情があるときは、遺言を作成しておくと、死後の紛争や諸手続きの手間を減らす可能性を高めることができます。
なお、配偶者や子、直系尊属が相続人候補者となる場合は、遺留分への配慮も必要となります。
1.各相続人に引き継いでもらいたい財産について、自分の希望を通したい場合
相続が開始すると、各相続人は法律で規定する割合(法定相続分)で遺産を共有します。
遺言を作成することにより、自分が死亡した後の財産の割り当てをしておくことができます。
2.相続人による遺産分割に支障をきたしそうな場合
相続開始後、相続人は法律に規定する割合(法定相続分)で遺産を共有しますが、相続人全員の合意により遺産を自由に分配(遺産分割)することもできます。
しかし、
(1)相続人同士の面識がほとんどない
(例:配偶者との間に子がないため、配偶者と遺言者の血縁(義父母または兄弟姉妹)が相続人となる、異母兄弟姉妹や異父兄弟姉妹等が存在する 等)
(2)相続人同士の仲が悪い
(3)相続人の数が多いため、話し合いがまとまるまでに時間がかかりそう
(4)相続人の一部と連絡が取りづらい(例:遠隔地居住、疎遠、行方不明 等)
(5)相続人の一部が認知症などにより話合いできない状態になっている
(6)相続人の一部が外国人で日本語を解さない
などの事情があると、話し合いに時間がかかったり、話し合いそのものができず、遺産の引継ぎがうまくいかない(できない)可能性があります。
そのような場合に遺言を作成しておくと、無用な紛争や引継ぎ手続きの手間を回避できる可能性を高めることができます。
3.相続人以外の人に財産を譲りたい場合
相続人でない人に対しては、遺言を作成しておかないと死後に財産を引き継いでもらうことはできません。
また、相続人がいない場合、財産は法律に規定する一定の手続きを経た後に国のものとなります(ただし、故人に特別のゆかりがある人(特別縁故者)がいる場合には、その人に対して遺産の引き継ぎができる可能性はあります)。
そのため、
(1)相続人以外の身内(内縁の配偶者、子の配偶者など)に財産を譲りたい
(2)他人(個人や会社を始めとする各種法人)に財産を譲りたい
(3)相続人に財産を譲りたくない
といった希望がある場合は、遺言を作成しておく必要があります。
黒岩昭司法書士・行政書士事務所
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